コロナも心配な横浜で、地元中学3年生に贈る言葉。。。:第63回NICUのいのちの授業 in 横浜市立秋葉中学校

先週は地元の中学校の体育館で卒業を控える3年生に
いのちの授業」を頼まれていました。
クルーズ船が停泊する横浜、コロナウィルスのことを考えると中止かなと
思えて、前日に遠慮せず、中止や延期のほうがいいと思えるなら
お伝えください。と連絡したら、先生から予定通り開催したいので
来てくださればというご連絡。

確かに中学生たちは通常どおり、集団生活してるし、
中学3年生には今しかない時間もある。先生たちの言葉を想いを
感じて自分もお伺いしました。

スライド01
こども医療センターの
最寄駅の1つ、東戸塚駅近くの横浜市立秋葉中学校を訪問しました。

スライド02
卒業を控える中学3年生と支援級の生徒さんを対象に
第63回NICUのいのちの授業を担当してきました。
に始めた頃の想いが取材されています。

医療崩壊やNICUベッド不足が連日ニュースになっている頃から
はじめて、コーディネイトしてくれた菊地さん、NICU卒業生のご家族の先生たち、
授業の後応援してくれるようになった学校の先生方と続けてきました。

スライド04
今回も企画・準備してくださったのはこども医療センターNICU卒業生
ご家族でもある二人の先生方です。同志と思っている二人の先生のいる
中学生でその生徒さんたちにお話できる機会を大切に感じています。

そして、生徒さん達と自分の出会いは
一期一会なわけで、これが最初で最後の授業という気持ちで
しっかり伝えられることを伝えようと思ってお話ししてきました。

NICU卒業生のご家族もいらっしゃるのを心強く感じつつ、
保護者の方も参加してくださるたくさんのこの街のかたが
集まってくださっていた体育館でした。

コロナで落ち着かない横浜だからこそ、コロナでなくても
いのちに向き合う人たちがこの街にいることをしっかり伝えられたらと
思って授業してきました。

スライド03
今回もドラマ「コウノドリ」の動画を導入で使いつつ、
ドラマでなく、地元の街に現実に起きていることを他人事で
なく感じてもらえたらと話してきました。

で取り上げてもらったような想いを
支援級もあるこの学校で病気や障害がある子も
<障害>とは何かをそれぞれに考えてもらえたらと
思いながらの授業です。

たとえ、NICUの中でいのちを終えている赤ちゃんとご家族にすごく
大切な時間があって、死んじゃったからダメな子にも思えていないし、
それぞれの頑張りや人生を応援したいと思えているということ。

人は自分が知っている人の死には悲しみを持つけど、毎日誰かが
生まれるように誰かが天に還っている、そのことを人には言わず悲しんでいる
人たちがこの街にはいる。。。<人の死>から目を背けず、その人の時間を
讃えたいし、大切な人たちが先に還って悲しみに向き合っている人たちに
心寄せあえたらと思えているというようなことも自分なりにお伝えしてきました。

その中でこの10年間のこども医療センターの取材報道も
流しています。

10年前から


病棟の雰囲気がだんだん変わっていく様子や


取り組んできたことを振り返る時間にも感じます。

新しいNICUができるまでの歴史を感じる気がしましたし、
大変な状況でも立ち去らず、だんだん良くなることを一緒に目指してくれた
NICUスタッフの存在を改めて感謝を感じたりしながら体育館で
上記の動画を流しつつ、スライドで授業してきました。
スライド43
誰かの<障害>になっていないか?、
みんなが人生のそれぞれの時間を送っている、自分と違う
ところがある人達から目をそらさず、一緒に生きていこうという
大人になってくださればと思いながら自分の話せる話をしてきました。

最近、身体障害だけでなく、発達障害のことも
自分なりに話そうとしています。

授業の最後のほうで
スライド45
出したスライド。生徒さんたちは少しどよめきます。
自分の知る先生たちがでているからだと思います。


自分の話しの後は二人の先生にNICU卒業生の親御さんとして
コメントをお願いしました。
今回、二人の先生にも一緒に授業してもらいました。

そのあと、どんな思いで教師をしているかなどを伝えることは
自分の話以上に生徒さん達に<いのちの授業>に思えてです。
医療者が<いのち>をわかっているわけでもない、
NICU卒業生のご家族の体験から<いのち>を伝えてくれることも
あると思えています。
スライド2
1人の先生は、以下の<朝日新聞>
「患者を生きる」に記事が残るようなNICUの
入院経験をご家族の言葉で生徒さんに物語っていらっしゃいました。


「はじめて抱っこ出来た日の喜びが忘れられない」
「この子がこの子なりの幸せを応援したいと思って生きてきた」
という言葉に、自分が涙が出そうになりました。

二人目の先生は
スライド05
休み前に必ず、「どうか死なないでください」と必ず
伝えてきたということです。その言葉をどんな意味で
伝えていたかを話したいと卒業間際の生徒さんに伝えていました。

3人のお子さんのNICU入院経験があり、
一番上のお兄ちゃんは
NICU卒業後に天に還られたことがあり、そのときの
悲しみを生徒さんに物語っていました。

自分たちは下の二人のお子さんの担当だったので
自分たちにも詳しく存じあげて頃のお話で
その想いの先に自分たちとの出会いがあったのだと
思えていました。

に2番目の超低出生体重児で成長したお子さんを抱っこしながら
3人目のお子さんに面会に来た時にインタビューに答えてくれた
言葉が残っています。

3人のお子さんたちの日々のなかから
休み前に「どうか死なないでください」と必ず
伝えてきたんだと思えていました。中学生にも中学生になり
辛いことってあるはずで、でも、それぞれの命を大切にして
欲しいと願いを伝えている先生なんだなと聞いていて
涙が流れそうになりました。

この世の果てにきてしまったような困惑の表情で出会った
二人のお父さんたちがその時のことも踏まえてすごく素敵な
先生として自分たちの街にいることに心強さを感じました。

生徒さん達にとって、
きっと一生残る授業になったのではないかなと
思います。

コロナ騒動で落ち着きない横浜ですが、予定通り開催した今回の授業、
校長先生をはじめ先生方の中学3年生の生徒さんたちへの願いを感じました。
学校も病院もコロナで全てを止めるわけにもいかない、卒業を
控えた3年生に今だからこそやってあげたい授業をNICU卒業生の
お父さん達と一緒にできて自分も本望に思えました。

質疑応答の時に真っ先に手をあげて
「新生児科医になりたいと思っています」と伝えてくれた
女の子は自分が見覚えがある自分の担当患者さんのお姉ちゃんの成長した
姿であることに気づきました。

自分の妹、ご家族が経験したことを生徒さんとして
聞いてくれて自分の未来に繋げてくれていることを嬉しく感じました。

また、授業が終わった後、こども医療センターの患者さん
である生徒さんが授業のお礼と卒業を控えての近況を伝えてくれて
嬉しく感じました。病気にめげず、共に生きているのがわかる
自分だけができることを見つけて高校も頑張ろうとしている
笑顔に感動しました。

スライド1
「オランダへ、ようこそ」のような<横浜>になったらと思えて
学校の先生達と一緒に子供達を応援できたらと改めて思えました。

授業の後は、こども医療センターでの胎児診断のお話の約束などが
あってすぐにこども医療センターに戻りました。

ご参加してくださった生徒さん、先生方、保護者の皆様、
ありがとうございました。

スライド10
同じ街で生まれ育つ子供達のために、それぞれの場所で
それぞれの役目を果たしながら、連携していけたらと思えます。
ありがとうございます。

どなたでも、ご意見ご感想などお寄せ下されば幸いです。


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こちらは故郷納税のように税控除の対象になります。

「新生児科」、「NICU・新生児病棟」など応援したい診療科や部署に指定の上、ご寄付いただければ使い道を各現場で決められるのでありがたいです。

「新生児科」、「NICU・新生児病棟」に指定いただければ、
新しいNICUでの患者家族のアメニィテイーの向上、
NICU卒業生の支援のための情報提供のリーフレットや育児応援アプリの開発、
NICUでのより良い診療のための研究開発、人財育成
などに活用させていただく所存です。

寄附の使途内容などはこのブログを通じて引き続き報告させていただきます。
今後とも多くの皆様に共に赤ちゃんとご家族のために
より良い医療を探していく応援をいただければ心強いです。

下記、こども医療センター新生児科が関わっている書籍などです。


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Comments 5

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悠真父  

先日はお忙しい中『いのちの授業』を行っていただきありがとうございました。物語でない、現実のお話から多くの気づきをいただき、また、生徒を含めた参加者が考える時間を設けてくださり、学び深い授業となりました。
授業に参加しながら、我が子の妊娠前から出産、NICUで過ごし親子ともども成長させていただいた日々、そして今までを振り返る機会となりました。語り尽くせぬ想いがこみあげてきますが、『いのちの授業』をきっかけに、今の日常を大切にしながら、感性を磨いていきたいとおもっております。ありがとうございました。

  • 2020/02/25 (Tue) 19:18
  • REPLY
ひろあつパパ  

豊島先生に「命の授業」をお願いし来ていただいたのは今回で4回目でしたが、毎回豊島先生のお話が進化し、生徒たちや私を含む大人たちを考えさせる内容となっている気がしています。
豊島先生やNICUにかかわる方々と出会って13年になりますが、時が流れ、様々な事柄が上書きされていく中で、忘れることのない思いをよみがえらせてもらえたひと時でもありました。
それぞれのこども達がいるということが、それぞれの親とそれぞれの誕生の時間があったという証。豊島先生のお話が、ドラマだけのことではなく、日常に当たり前に存在する現実であるということを、生徒たちがいつか実感してくれるのではないかと思っています。
お忙しい中、本当にありがとうございました。

  • 2020/02/25 (Tue) 22:01
  • REPLY
NICUサポートプロジェクト
豊島  
To 悠真父さん&ひろあつパパさん

悠真父さん&ひろあつパパさん、<命の授業>のご感想ありがとうございます。「語り尽くせぬ想い」「毎回豊島先生のお話が進化し、生徒たちや私を含む大人たちを考えさせる内容」と伝えてくださり感謝です。自分自身、この授業をしながら<考えさせられてきた>のかなと思います。だんだん、話が変わっているというか、それは新生児医療も変わってきていると思うのですが、自分自身もNICUやフォローアップ外来を続けてきて、命の授業を担当してきて、生徒さん達に伝えたいことが変わってきているのかもしれません。今回は、最後はお二人の言葉で授業を締めてもらうつもりで長い前振り、前座のつもりでした。患者家族と医療者で伝えるからこその授業に思えて自分にとっても大変印象深い時間でした。貴重な機会をありがとうございます。また、お誘いくだされば参上いたします。ありがとうございました。

  • 2020/02/27 (Thu) 18:10
  • REPLY
ひかり姉  
ありがとうございました。

豊島先生、先日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。私達の周りには様々な障害を持っている人がいます。ですがそのような人達に、障害を感じさせてしまっているのは私達自身なんだと、気付くことができました。ひとりひとりの個性を尊重して、個人として見つめて関わりを持っていくことが、全ての人の生きづらさを解消し、障害を持っている人でも社会に出て来られるようになることに繋がるのではないかと思いました。将来は、全ての人が社会に貢献していけるような環境作りをしていかなければならないと感じたので、高校やその後の人生の中で、自分にできる環境作りをしていきたいと思います。決して他人事と思うことなく、まっすぐに向き合っていきます。
ありがとうございました。

  • 2020/03/03 (Tue) 10:44
  • REPLY
NICUサポートプロジェクト
豊島  
To ひかり姉さん

ひかり姉さん、質問コーナーで「新生児科医になりたい」と思えたという言葉に、ひかり姉さんがNICUで窓越し面会していた頃を思い出しながら感動していました。障害者とか健常者とかではなく、誰もが様々な障害とともに向き合いながら生きていることを想像できる高校生になってくれたらとNICUから応援しています。素敵なメッセージありがとうございました。

  • 2020/03/10 (Tue) 19:16
  • REPLY