新しい科学技術に触れようする開拓心が未来の医療を創造するかも。。。:第64回日本新生児成育医学会・学術集会の参加報告(その2)

の2日目の報告です。

2日目は

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シンポジウム4

11月28日(木)9:00~10:30 第4会場(4F パール)
「未来の心エコー評価―3Dエコーは新生児循環管理における必須ツールとなり得るか?」

座長:
山本  裕(岐阜県総合医療センター新生児集中治療室)
豊島 勝昭(神奈川県立こども医療センター新生児科)
演者:
豊島 勝昭(神奈川県立こども医療センター新生児科)
山本  裕(岐阜県立総合医療センター新生児集中治療室)
神谷 雄作(独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター新生児科)
泉  知里(国立循環器病研究センター心臓血管内科)
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がありました。

このシンポジウムは15年前に日本のNICUではじめて
3次元エコーを導入した岐阜県立総合医療センターの山本先生が
企画して、会頭の鹿児島市立病院の茨先生が賛同してくださり
開催になったシンポジウムです。

誰もやっていなかったことに挑むから<始まる>という
ことの大切さを感じることがあります。

スライド07
シンポジウムの司会進行役は山本先生でしたが、
「十五年前に始めた3次元エコー、全国のNICUに少しづつ
広がり始めています。マニアックな検査というわけでなく、
NICUの診療を変えていく可能性があることを実感している
人達も増えていて、そういうことを語り合えるシンポジウムに
なれば」
ということをお話しくださりシンポジウムのスタートでした。

改めて30代の頃から地道に取り組む続けてくれた
山本先生がいたからこそのこのシンポジウムなんだと感謝感動でした。

3次元エコーだけでシンポジウムになることに自分も驚きつつ、
世界中でもはじめての新生児医療の3次元エコーのシンポジウムという
機会を大切にしたいと前の晩は徹夜気味で準備して臨みました。

IMG_4822.jpg
最初は自分が口演を担当しました。

スライド03
心エコー検査などで心機能をしっかり確認しながら
循環管理することで肺出血や脳室内出血を減らせるかもと
信じてやってきました。中国・台湾・韓国・オーストラリアで
などで心エコーの講演や実技セミナーを担当すると
世界的には心エコー検査を新生児科医があるのは当たり前でなく、
上記のやり方を身に着けてもらうことは簡単ではないと
感じています。上記のようなことを修得できる人はする意味がある
と信じていますが、簡便で有意義な指標を探し続けていたいと
思えています。

スライド08
より簡便な指標を探して、増谷先生の提案で
Mモードを介さないBモードの断層エコーから
左房容積などの報告もして来ました。

そして、この先行研究に関心を持って
くださった34施設のNICUの皆様と一緒に
スライド13
未熟児動脈管開存症のNICUにおける心エコー検査の
有用性を確かめるPLASE研究のご報告をしました。
学会の場で34施設で300名近い皆様の協力があって
できた研究の結果報告をできてよかったと思えました。

スライド14
そして、全国34施設の多施設共同研究プロジェクトの
PLASE研究では新生児科医の心エコー検査の確かさを
伝えつつ、Mモードでない方法がより差が少ないことなども
報告してきました。

PLASE研究の先、心エコーが当たり前でない他国のために
なることを考えていきたいということを踏まえての講演に
したいと考えていました。

スライド15
PLASE研究では静止画の精度管理はしているけど
動画の精度管理まではできてないこと。動画から計測に
使うMモード断面をどう取るかは簡単でないこと、左室は
微妙に位置が変わること、捻じれることなどを踏まえると
Mモードを使うこと自体に誤差が生じるうる可能性を
話しました。

スライド16
成人のガイドライン、教科書などに書かれていることを紹介しつつ、
成人の循環器学ではMモード法は廃れつつあり、断層方法から直接
EFをはかることが推奨されつつあること。医学生や
研修医はMモードに慣れずにNICUにくることを今後考える
必要があること。NICUだけがMモードでの計測にこだわり
続けなくてもいいのかなと思えることをお話ししました。

専門家以外の臨床医が心エコー検査をするNICUだからこそ
簡便な指標を赤ちゃんたちのために見つけていく必要が
あることをお話しして来ました。

そして、改築に合わせて、ご寄附などの補助もあって
導入できた最新のTomtec社のAutoStrainというソフト
での現在の診療でもできる従来のエコー動画でもできる
心機能自動解析についてお話ししました。
スライド17
断層エコーの四腔断面で弁輪部と心尖部の3点をプロットして
自動トレースされる心内膜面をマニュアル補正した半自動で
算出される左室容積や左室のEFを紹介しました。

Mモード使わなくても、心機能をみれるし、
最新の技術を使うとかなり自動的に計測できることを
お話しました。

スライド18
また、
EFよりも鋭敏に心機能を知ることができて、検査者の
誤差の少ないスペックルトラッキング法による2Dストレイン
の話などをしつて、ESWSに変わることもできそうなことを
お話ししつつ、
スライド19
左房容積や左房のEF、左房Strainなどが半自動で
解析できる2次元エコーの現状をお話ししました。


IMG_4823.jpg
その上で、自分は10年後、20年先のNICUにいるつもりで
3次元エコーでできること、どうやったらできるかを日々、
NICUで考えていることをお話しさせてもらいました。

スライド20
会場の皆様に10年先、20年先にいるつもりで一緒に
体感してもらえたらと3次元エコーのお話をさせていただきました。

山本先生に導いてもらいながら
3次元エコーに2012年から取り組み始めた私達です。

始めた頃は検査を取ってから解析までに1時間以上を要していて
自分も膨大な時間を費やして来た3次元エコーですが、どんどん
機械が進化しているのを感じる近年です。

スライド23
当院でこの秋にに導入したPhillps EPIC-CVXの最新のエコー機器による
検査画像などを供覧しました。心室中隔欠損を直に観察
できるような可能性があるし、

スライド25
動脈管などがとじていく様子なども前よりより
立体的に把握できる。

どんどん良く見えるエコー検査を使いこなしたいという
気持ちをお話しました。

そして、今、左心機能評価でできることを紹介しました。
スライド26
心尖部から上記の動画を10秒間程度取れれば
エコー検査は終わりで、この画像から下記の結果が算出される
ステップをデモしました。
スライド30
左室の容積、拍出量、EF、容量変化曲線が出ること。
この2年間で解析した67名の超低出生体重児の320回の
検査からの標準値を当日は示しました。正常値がないから
どう使っていいかわからないという人たちに向けて大体の
目安を作れたらとこの2年間やっていたことをお話ししました。

スライド34
さらにフレームレートが高まっている今、これからは
左室の16分画の収縮性を3Dスペクルトラッキング法で
3Dストレインで算出できて、心室中隔側と自由壁側の
心臓の動きの違いを知ることもでき、肺高血圧や後負荷不整合
の評価に使える、半自動でできるかもしれないことをお話ししました。

左室の次は左房について実際の画像から
3次元エコーの解析を追体験していただきました。
スライド38
フレームレートが格段に向上した最新型のCvXを使えば、
左室の容量変化曲線から左房のリザーバー機能、導管機能、
ブースター機能などの把握もできる期待を話しました。
肺うっ血や肺出血などの呼吸への悪影響を把握して
対処できる期待をお話ししました。

スライド41
最後のスライドです。新生児は心拍数が早いから3次元エコーは
向かないと自分に伝えた小児循環器医の先生方が昔いました。

でも、やって見るとそれは正しくもなくて、新生児は心臓が小さいため
画角を狭くできるので成人以上に高いフレームレートの3次元エコー動画
が撮れると思います。

10年先を待っているだけでは10年後も変わらない。10年先を
想像しながら今を取組む人たちが増えるからこそ10年先の医療を
変えられる。10年先、20年先の医療を自分たちで切り開いて
いくんだと思えるような後輩世代の先生方に便利になったら
学ぼうでなく、考え始めて欲しいという気持ちを込めて
講演を終えました。

スライド03
2番手は今回の発案者である山本先生に3次元エコーに
おける右室機能について講演でした。


3次元エコーでしか分かり得ないのが
右室の容積です。

スライド04
複雑な形をしている右室のボリュームはこれまで
エコーではできず、MRIやカテーテル検査をしないと
知ることはできなかったのですが3次元エコーは
右室のボリュームが評価できるということを講演されていました。

また、右室の容積変化曲線から肺高血圧の診療をよりよくできる
可能性を実際の診療の経験から報告されていました。
スライド05
新生児期の心不全の大きな特徴である心室間相互作用などを
踏まえて3次元エコーだけでなく、新生児の心臓機能の考え方を
伝える大変勉強になったご講演でした。

スライド08
3番めは三重の神谷先生です。小児科後期研修医の時に、
3ヶ月間の短期研修医として神奈川こどもにきてくれた神谷先生。

3次元エコーに惹かれ、同じく短期研修医だっ名古屋大学の五十里先生と
解析をそれぞれしたらズレていたということを報告してくれました。
PLASE研究の準備の中で精度管理をしてくれた甘利先生や増谷先生の
話をした自分です。

自分達がズレているで終わらず
どこでズレているかを可視化して、2人で測定マニュアルを作って
もう一度やってみたらと提案したら、短期研修の間に夜な夜な
本当にチャレンジした2人でした。

その内容を今年論文化して新生児成育医学会に受理して
もらい今後掲載予定です。その内容を神谷先生に講演して
もらいました。
スライド09
小児科後期研修医でもマニュアルなどをそって測定すれば
再現性の高い検査になるかもという報告です。

若手だからこそ未来を想像して長期的視野で取り組めることってあることを
自分に感じさせてくれた神谷先生や五十里先生の開拓心や実行力を讃えたい
気持ちで聞いていました。堂々とした講演でした。

成人の循環器学会の3次元エコーのシンポジウムなどに
参加しても自分より下の世代の人たちの講演が続きます。
新しい技術は若い世代の先生方の方が経験が増えるので
神谷先生達にも新生児や小児の部分で3次元エコーの黎明期から
取り組んだエキスパートになってくれたらと思えています。

シンポジウムの講演の最後は
スライド10
国立循環器病研究センターの心臓血管内科の泉先生に
成人における3次元エコーの診療や研究をご講演いただきました。

スライド11
日本の成人循環器医療の診療・研究の中心である国立循環器病
センターでの3次元エコーの診療や研究などを講義して頂きました。

泉先生の供覧してくださる3次元画像が鮮明で分かりやすく、
どうやったらこんな風に撮れるのだろうかと想像しながら
ご講演を聞いていましたし、新生児でもさらに画像を綺麗に
撮れるようになれるという未来への期待を感じていました。

スライド12
スペクッルトラッキングによるストレインなども大変
わかりやすくお話くださいました。成人の心臓機能評価のお話を
聞き、新生児医療の心機能評価にも活用できそうなヒントをたくさん
いただいた気がしました。

スライド06
「10年後、20年後の診療を考えること」が研究だと思っています。
多くの方がご参加いただき、嬉しく感じました。

山本先生のこのシンポジウムがきっかけでさらに3次元エコーを
含めた心臓機能評価をみんなで考えていけたらという趣旨の言葉で
終了の学会シンポジウムでした。

自分にとっては若手の先生方が夢を感じたと後で
感想をたくさん伝えてくれたことを嬉しく感じ、夢を託したい
気持ちになりました。

スライド13
PLASE研究では2次元エコーでの診療の精度の不確かさを
確かめた自分たちですが、3次元エコーによる自動化が
より再現性の高く、より意味がある心エコー指標をみんなで
探していけたらとも思えていました。

スライド14
シンポジストの大役を果たしてくれた神谷先生。

3次元エコークラブ(3DEC)で世代を超えた仲間、
そして、時間が残り少ない自分には自分が取り組めなくなった
未来を託したいメンバーの一人の神谷先生の初シンポジウムの
ときに一緒にいられたことを幸せに思えました。

神谷先生の堂々とした発表ぶり、論文などを作った後での
発表だからこそのしっかりした準備を讃えたい気持ちでした。
感謝をこめて写真を一緒に撮ってもらいたいと自分が思えました。

自分が初めてStress-Velocity関係でこの学会でシンポジストをした
頃と同世代の神谷先生です。

神谷先生達が自分の年令くらいになって
入る頃には自分はもうNICUにはいないと思うけど、3次元エコーが
当たり前のようにNICUで使われていたらなあと思え、
神谷先生達にそういう20年先を地道に目指してもらえたらと
思えました。

業務の中で研究をする時間をたくさんもらえるのは実績が
ある人だけで、若い頃は業務以外のところで取り組んでいく
必要があります。

でも、忙しい臨床現場にいなきゃいけない時間があるからこそ
その時間の中で患者さんの診療をデータ化して積み重ねていく
ことで若手ならではできる研究もあります。そういう一手間
自分で取り組むことがあると忙しい臨床の中でも楽しさも
生まれてくると思えていました。

部活動みたいなものでに興味や関心がある
ことに取り組んで取り組む若手を応援していきたいと改めて
思えました。


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引き続き、下記ご検討くだされば心強いです。

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ご寄附による応援のお願い:こども医療センターNICU

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確定申告時の税控除の対象になります。
税金の使い道を指定する思いで
「新生児科指定」・「NICU指定」の寄附としてくださればNICUに入院する赤ちゃん達、卒業生、一緒に時間を大切に過ごすご家族たちの応援、スタッフの人財育成のためにも自分達で使い道を特定して
活用させていただきますのでご指定のほど、よろしくお願いいたします。



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Posted byNICUサポートプロジェクト

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