その時代の様々な人達の<コンセンサス>が<倫理>:早産児発達・家族支援国際カンファレンスの報告(最終回)

スライド43

韓国で「早産児発達支援のためのNICUファミリーセンタードケアと発達支援フォローアップ外来の講演:早産児発達・家族支援国際カンファレンスの報告(その2) 

の続きです。


韓国の報告の続きです。
スライド18
この国際カンファレンス、
J Kevin Nugent先生と自分の他には
スライド17
韓国のNICU卒業生の応援している多職種の方の講演がありました。

スライド14
未熟児網膜症を含めた視力の理解や把握は発達支援にも
大切で、自分も勉強になりました。小児眼科の先生方が
日本と同様にNICU卒業生の応援を心寄せてくれていることを
感じました。

スライド4
「早産児だから発達が悪くても仕方ない」ではなく、
「運命は変えられる」ということを信じてご家族の
発達支援を応援する体制を作って生きたいという訪問
発達支援を韓国で構築して行こうとしているKang先生の
言葉にも感動しました。


カンファレンスでも懇親会でも
韓国のリハビリテーションや眼科の先生方、
訪問の看護師さんやPTさんの
NICU卒業生の応援をしていての感想や質問、意見交換が興味ふかい1日でした。

こういう時に感じるのは韓国を知ると共に、日本では当たり前に思えている
ことの中に日本の良さや課題もあるのだと気づかせてもらう機会になります。

日本は韓国に比べて、NICUを持つ病院も新生児科医・NICU看護師も多いと
改めて感じます。人財不足というよりはNICUが多すぎて人財の分散がある
のかもしれません。一方、NICUが多いため、施設間差異は出て来ます。
患者さんも分散するため、NICU卒業後のフォローアップも施設間差異は
あるのかなと思えました。

NICU卒業生のフォローアップの充実を新生児科医が少ない場所で小児科医
や多職種でこんな国際カンファレンスが開かれることは日本との違いに思え
ます。日本は新生児科医が中心にフォローアップをして来ましたが、韓国は
違うフォローアップ体制が生まれようとしているのかもしれません。
訪問して新生児発達支援や家族支援をしっかりやるプログラムや体制を
作ろうとしているこのカンファレンスの力強さを感じたりしました。

患者家族の方のご発表もありました。韓国は日本より入院費も退院後の
診療費も全て健康保険でカバーされていません。所得が多いと補助はない
ので、いくら家族で収入を得ても医療費補助がないからそれで消える。
働いても働かなくても変わらない状況になっているという言葉が印象的
でした。

このカンファレンスでは韓国のNICU卒業の先を見ている人たちやご家族達が
NICUの医療費負担をこれ以上減らすだけでなく、NICUの卒業の先の発達支援
などへの公的サポートを増やしていくことが大切ではないかという意見を政府に
伝え行こうという機運がありました。

治療の金銭的負担のことだけでなく、医学が進化したから
生じる課題へのサポートも社会全体で考えていく必要があるという
意見に共感する思いで総合討論に参加していました。

自分の講演の質疑応答でも24時間面会可能とか兄姉面会可能
にするとその金銭的なサポートは政府からあるのか?それがないのに
どうしてできるのか?
スタイルの違うNICUをどうして行政や病院、NICUで作れるのか?
お金はどうしたのか?

など金銭的な質問、現実的な質問もすごく多く、日本は恵まれている
ことを感じたりしました。

スライド45
韓国のメディカルソーシャルワーカーさん達ともたくさんお話ししました。
今回のカンファレンスの運営をしていたメディカルソーシャルワーカーさん。
子供達とご家族の応援への願いや熱意を感じて、様々お話しできて、友達に
なった気がします。なんとなく自分の弟に似ている風貌と雰囲気と笑顔でした。

日本は患者の自己負担がほとんどないことに驚き、恵まれている国だという
部分を伝えてくれていました。自分は担当する患者家族に「NICUは1日10万円
弱の診療費が本来かかっている。1000g未満だと90日、1000-1500g未満
だと60日間はみんなで出してくれた税金からその1日10万弱の診療費がカバー
してくれている。他の国は1-2割は自己負担が通常なので300-1000万円の医療費
がかかるのが通常です」話していることを伝えました。面会に来る交通費はかかる
かもしれないけど、多くの人たちが金銭的に支援してくれている状況をお伝え
することが大切かなと思えてです。

自分は韓国の人達に金銭的な心配をしなくていいのは患者家族も医療者も
恵まれている日本だけど、どんなに重症でも医療費が払えないという状況
はないので世界的にはびっくりされるような重症な状況でどんどん集中治療
が続けられていることもある。お金がかかると親御さんもどうしていきたい
という希望や現実を医療者と率直に話す場面があるのを台湾や中国のNICU
診療に加わっていて思った。早産児の集中治療だけを無料に近い状況に
してもその後の生活には金銭的なことも絡むし、韓国の状況を悪いとも思わない
と話したりしました。韓国の取り組みから学ぶことも大きく、日本も人口減少化
社会、国の財政も悪い中でNICUという高度先進医療をどう維持していくかは
考えていく必要があると改めて思いました。

このブログでも書いたことがありますが、韓国・台湾・中国の方々から
日本の医療・福祉を見ると
「恵まれている、世界中にないような医療や福祉があるけど、
<完璧を求める>からいつも足らないことばかり見つけて嘆いている。
嘆いているからそれをなんとかしようとして<また向上していく>の
が日本の医療や福祉のすごいところだけど、あるものに感謝して、
<足るを知る>のも幸せに気づけるのではないか」
という異口同音の言葉を今回も感じたりしました。

2014年に韓国小児循環器学会のお招きで

で出会った建国大学病院の新生児学のMin Hee, Kim教授
今回のご招待していただいた時、5年前のNICUでの出会いに
感銘を受けたことこを伝えられてうれしい再会でした。

カンファレンスの最後のあいさつは
スライド5
Min Hee, Kim教授でしたがその言葉に感動でした。
「ある時代の人々の総意が<倫理>なんだと思う。新生児医療の
この20年間の進歩は著しく、早産児であっても救命されるようになり
障害の形も変わってきている。一方、医学の進歩ほどに人々の認識や
意識は変わっていない。NICUの治療成績だけで倫理を変えていいわけ
でもない
こういう早産児のNICU退院の先を支援している
様々な人たち、当事者の人たちが集まる会議だからこそ、韓国の命を
どう尊重するか? 倫理が変わっていく機会になる気がする」
という挨拶が言霊に思えました。

「変わる? 赤ちゃん“命の線引き”」:生育限界は新生児医療の成績だけで決めるべきでなく、 助かったからこその悩みに向き合う子供と家族の支援体制もあわせて考えていく必要がある

では自分、NICU卒業生のフォローアップ外来の医師として
誤解を怖れず発言したのですが、自分では伝えきれなかったことが
キム教授の言葉の中にある気がしました。

日本のニュースにも通じるキム教授の言葉は
「進化する新生児医療」について社会に問いかける
素敵なメッセージに思えました。


スライド22
懇親会、J Kevin Nugent先生の人柄に熱意に触れ、
生後早期の子供と家族の関係性の中に子供の発達支援の
大切な部分がたくさんあるということを実感した今回。

スライド23
<正常><異常>、<正常に近づける>とかでなく、
その子それぞれの可能性を理解して伸ばしていくために
力を尽くしたいという韓国の皆様の熱意や優しさを感じ、
スライド24
神奈川に短期留学してくれた新生児科医のヨム先生の病院の
リハビリテーションの先生方と意見交換と連携・協力の輪が広がる
ようで嬉しく感じる夜でした。


スライド26
大変、多くの学びがあったし役目は果たせたかなと安堵の夜。

スライド6
一人でソウルの江南の街をぶらぶらしていました。言葉が
通じず、誰も知り合いがいない街角で一人で歩くことで
これまでやこれからを考える時間にも思えています。

スライド27

帰国の前は今回の主催のリハビリテーションセンターを
見学させてもらいました。

スライド31
日本でいうと新横浜のリハビリテーション
センターやラポールかなと思えました。温かい空間に思えました。
スライド30
コンビニやカフェは障害者の方々が勤めていたり、バリアフリーな
イベントは参加すると景品が当たる見ないなポスターがあったり、

スライド28
街のコンビニに今回のカンファレンスのポスターが貼っていたりと
していて障害者支援の雰囲気を感じました。

スライド16
見事に講演をしてくれたリアルタイム通訳さんの他にも行き帰りの道中、
ハングル語の講演やフロアでのやり取りに2人の日本語通訳できる方が
寄り添ってくれて、こういう心遣いに感謝でした。

日本人として韓国に住む方の感想を聞いたり、
スライド32
日本で短期働いていたカンさん、関西に留学してくれたせいか
通訳が関西弁でそれも楽しく、知り合いが増えてうれしい旅でした。

スライド33
韓国も日本も小児医療や福祉に関わる人たちの想いは変わらない。
人はそれぞれの国や街で共に生きて行こうとしていている。
素敵な出会いがたくさんあった気がする48時間の韓国出張、
6度目の韓国への講演出張でした。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


引き続き、下記ご検討くだされば心強いです。

img_0_m-82.jpeg
ご寄附による応援のお願い:こども医療センターNICU

かながわ県立病院小児医療基金のご案内

かながわ県立病院小児医療基金クレジットカード寄付フォーム
が追加されました。

クレジットカードでこども医療センターへの寄附が1000円から可能です。
確定申告時の税控除の対象になります。
税金の使い道を指定する思いで
「新生児科指定」・「NICU指定」の寄附としてくださればNICUに入院する赤ちゃん達、卒業生、一緒に時間を大切に過ごすご家族たちの応援、スタッフの人財育成のためにも自分達で使い道を特定して
活用させていただきますのでご指定のほど、よろしくお願いいたします。





関連記事
Posted byNICUサポートプロジェクト

Comments 0

There are no comments yet.