<希望>とは何かを考えたい:子供と家族の暮らしを支えるために (山口先生の講演報告)

新生児科指定の御寄附などを
院内外で活用できたらと思えて開催している
遠隔配信も含めた毎月1回のNICU講演会です。

先月は
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山口先生の講演でした。

当院のNICU当直も続けてくれていますが
今は療育センターで働いています。両方で働いて
いて考えていることや

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DOCTOR-ASE 10年目のカルテ:小児科医 山口直人医師(2012年10月)

上記の取材記事に残っていますが、NICU研修当時から、
「集中治療のスペシャリストとして腕を磨いていくよりは、退院後の子どもたちや家族の生活を支えていけるような医療をやっていきたいです。NICUを出れば、そこからは自宅で家族と生活していくわけで、そんな家族の在り方や生活に関わり、支援することができるようなポジションで仕事をしていきたいですね。」
「自分の価値観じゃなくて、子どもとその家族がどうなりたいかを一番に考えられることが大事だと思っています。ただ、自分が思っている以上に辛い人たちはいて、そういう人たちに対して、医師として何かをできるときもあるけれど、できないときも多い。だから「できない」ということはちゃんと知った上で、何もできないけど、子どもや家族の悲しみや喜びに寄り添える医師でいたいなと思っています。もちろん、それを支えられるだけの知識や技術は必要ですけどね。」
と語っていた研修医でした。


当院研修医OBのキャリアパスとして
上記のような取材記事の後、医師として
どう歩んでいるかを後輩世代の医師にも
伝えて欲しくて講演をお願いしました。

自分が山口先生の講演を聴きながら
言霊に思える言葉や感想を下記に残したいと思います。

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「暮らし」にすごく興味がある。
暮らしの場所としてのNICU,
この子の暮らし。新しい家族の生まれる場所を手伝いたいと
いう気持ちでNICUの研修をしていた。

医学的に正しいことを行使するのが自分たちの役目だけでなく、
その医療を受ける赤ちゃんやご家族の<暮らし>に
心寄せていた山口先生の研修医時代だと思えます。

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家族の<暮らし>を手伝いと思って療育センターで
働き出した
ら、「迷子になる」気持ちになった。

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NICU以上に様々
みんな違ってみんないい・・・とも思えるようになった。。。

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何もかも足りないのか、溢れるニーズなのか、
地域に出ると医師は主役感はなくなる、それは
多くの支援者がそれぞれ一生懸命やっていることを知った

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NICU卒業生で療育センターで出会ったお子さんとご家族の
お話をたくさんしてくれました。どんなことをお子さんとご家族が
感じて、悩んだりしているか?を伝えてくれて、NICUでどんな
ことができただろうかということを考えさせてくれる
内容に思えました。

山口先生が療育センターで出会ったお子さんとご家族に
NICUでの経験を踏まえつつどんな風に心寄せ、療育センターや
街の支援者と協働して暮らしを支えようとしているかが
伝わってくる講演に思えました。

山口先生のNICU医療は救命率がよくなったよくなったと
言われているけど、療育センターで働いていると脳室周囲白質軟化症
や脳室内出血の後遺症で悩んでいる子供達とご家族はたくさんいる。
こういう脳合併症を予防することはまだまだNICUで働いている
ときには大切なことなんだと思う。

合併症のあるお子さんや医療的ケアのあるお子さんの
NICU退院支援を上手になるのを目指すのではなく、
もっとこだわって脳を護る新生児集中治療を
目指して欲しいという気持ちが共感する気持ちでした。

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リハビリ、整形外科、理学療法士、小児科と様々な人たちが
参加してくださり、総合討論も意見交換の場になりました。

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「親御さんの愛情を解決策」にしてはいけないというのが

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第10回関東障害者歯科臨床研究会の参加報告(前編):「命を支える-NICU卒業生とご家族の行きづらさの緩和を目指して-」を講演
でのNICUの先の支援してくださる医療者・支援者の思いとして
共通な気がしました。

山口先生の講演の中で自分が感じたのは
「新生児科医は<希望を奪ってはいけない>という考えで、
長期的な心配はあまり話さない、合併症が出た場合の予測されている
未来などを伝えない、<おおきくなってみないとわからない>という
姿勢があるように思えます。このなかには治療がうまくいった状況を
<光>として、合併症が出た場合を<闇>のようにしていないかという
気がしています。

療育センターと連携していくためにも、<希望>とは何かを考える
必要があると思えました。

希望>とは治療がうまくいった場合のことだけでなく、合併症が
出たり心配だったりするときにNICUの先で受けられる支援やご家族が
取り組めることなどを伝えることも<希望>なのかなと思えていました。
それがないと合併症や心身の障害に悩むご家族が<闇>のように
どう歩んでいいかわからなくなる。

本当の<希望>って、どういう未来がきてもそれぞれに
いいことも悩みも、応援してくれる人達がいるということを
伝えることなのかなと思えました。療育センターなどのことを
知らずして、伝えられないNICUこそ、<希望>を奪っている場所に
なってしまうのではないかと思えていました。

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神奈川こどもNICU 早産児の育児応援サイト
なども整備していきたいと改めて思いました。

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神奈川こどもNICU 早産児の育児応援サイト
の管理人や遠隔講演会をサポートしてくださっているNICU卒業生の
ご家族のそうちゃんのママさん、山口先生の講演に感動を伝えて
いましたね。

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講演会の後は新しいNICUを見学してもらいつつ、

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そのままNICU当直をしてもらいました。4人マイナスの今、
二人当直体制を維持するためにありがたく感じる山口先生や
野口崇宏先生の二人の存在に皆が感謝です。

8月の講演会は以下です。

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神奈川こどもNICU講演会(8月26日(月)17時30分) :「改築したNICUの報告と目指したいこと」のご案内

遠隔配信も
NICU関連のメーリングリストやFacebookページで
受付中です。締め切りは8月20日(火)です。
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Posted byNICUサポートプロジェクト

Comments 2

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ぽこちゃん  

いつも楽しみに拝見しています。
娘は右脳に脳室内出血グレード2が
あると言われています。
今のところ出血は固まっていますが
発達に関して
大きくなってみないと分からないと
言われています。
大きくなってみないと分からないという
言葉は確かにその通りだと思います。
ただ、その言葉をかけられた時に
少し見放されたように感じる気もします。
悪い未来でもこんな可能性があるって
知りたいのです。
こんな希望もあるって知りたいのです。
大きくなる前・大きくなった後に
こんなサポートが受けれる
こんなことが待っているかもしれない
いろんなことを知りたいのです。
この投稿から
私の声を代弁してもらっているような気がして共感してしまいました。
(2019/8/19(月) 午後 5:09)

  • 2019/08/28 (Wed) 16:18
  • REPLY
NICUサポートプロジェクト  

> ぽこちゃんさん、メッセージありがとうございます。誰も明日、未来どうなるかはわからないのも<真実>だし、同じような状況だった人に様々な人がいる、支援を必要としない人もいれば様々な支援を受けてよりよく過ごせたと思える人もいるという<事実>もどちらも<希望>になる気がしています。医学の目指す<障害なき生存>が子供達やそのご家族の<生きづらさ>とも必ずしも一致しないともフォローアップ外来で感じて来ました。そういうことをNICUで働く後輩世代の仲間にも日々伝えていけたらと思えています。共感してくださりありがとうございました。
(2019/8/20(火) 午前 9:40)

  • 2019/08/28 (Wed) 16:29
  • REPLY